土・腸・生命科学
腸と心「腑に落ちる」という言葉が示していた、腸の秘密
「腑に落ちる」「腹が座る」「虫の知らせ」「腹の虫がおさまらない」──日本語には、腸の働きを表しているかのような言葉が昔からたくさんあります。「己(おのれ)」という漢字は腸の形をしていることから、自分という存在は腸にあると表しているという説もあるほどです。
現代科学でもこの直感が少しずつ証明されています。マウスを使った実験では、2匹のネズミの腸内細菌を入れ替えると、臆病だったネズミが積極的になり、動物の性格すら変わってしまうことが分かってきました。腸内フローラが、体だけでなく心にも影響を与えているのです。
ここからは個人的な意見ですが、自然なものを食べて腸のコンディションを整えれば、人の心のバランスも整って、鈍感になってしまっていた感性すら研ぎ澄まされる。そんなことに繋がっているのではないかとすら思うのです。
自然栽培の仕事をしていて、農家さんの畑を巡るたびに感じることがあります。肥料も農薬も使わず、土の中の微生物たちが豊かに息づいている畑の作物を食べると、体だけでなく、なんとなく気持ちまで整うような感覚があります。土の中の生態系と、腸の中の生態系。この二つが実は「相似形」なのではないか──そう考えると、自然栽培の意味がもう一段深く見えてきます。
「食べ物で心が元気になることが分かりました」。いつの日か、そんなニュースが流れてくるかもしれません。ますます腸内フローラの世界から目が離せません。
