ハミングバードについて

ハミングバードのはじまり
——すべてを失った日

インターネットが世の中に広がり始めた頃。私はベンチャー企業を立ち上げ、世界の地図検索のスタンダードになることを夢見ていました。

スイスの企業と提携し、3次元の地理情報を検索できる新しいサービスを始めました。当時、世界でも数社しかない技術でした。日本中から提携や出資の話が舞い込み、事業は急速に広がっていきました。

ところがその直後、アメリカの競合企業がGoogleに買収されます。「Google Earth」として無料公開されたその瞬間、世界が変わりました。

まるで海の潮が引くように、すべてがなくなりました。

朝露を見て、涙が止まらなくなった

事業を失ったあと、しばらく何もする気になれず過ごしていました。

ある夏の早朝、犬を連れて散歩していたときのことです。公園の草の上に、ひとしずくの朝露がありました。朝日の中で七色に輝いていた。

その光を見た瞬間、なぜか涙が止まらなくなりました。仕事がうまくいかなかったときでも泣いたことはなかったのに。

今思うと、それまで自分が信じていたお金や競争、成功といった世界とは違う価値があることに、突然気づかされた瞬間だったのだと思います。

自然。愛。感謝。それまでどこかで軽く見ていたものが、そのとき初めて体の中にすっと入ってきました。生き方を変えてみたい。そう強く思いました。

木村秋則さんとの出会い

それからしばらくして、ご縁の中で木村秋則さんに出会いました。なんて魅力的な人なんだろう、と思いました。そして同時に、それまでのビジネスの世界では出会ったことのない価値観に触れました。

木村さんが提唱していたのが「自然栽培」という農業です。農薬も使わない。肥料も使わない。自然の力だけで作物を育てる。その考え方に、強く心を動かされました。

木村さんが時の人となった時期、私はほぼ3年間、毎週のように木村さんに同行していました。北海道から九州まで、日本中の自然栽培農地を訪ね、木村さんが農家に指導する現場をそばで見続けました。地域も品目も異なる100箇所以上の実践ケーススタディは目から鱗とも言える、感動と学びの連続でした。

当時、木村さんの周りには多くの人が集まっていました。私はあえて表に出ず、裏方として動き続けました。嫉妬やしがらみとは無縁でいたかった。そして何より、自分はここで学ぶ立場だと思っていました。

映画「奇跡のりんご」が公開されたのが2013年。あれから13年が経ちました。頭ではなく、足で学んだ3年間でした。その経験が、ハミングバードの土台になっています。

玄米を食べた翌朝、何かが変わった

その頃の私は、体調を崩していました。一日中お腹が痛く、病院へ行っても原因はわからない。そんなとき、自然栽培の玄米を試してみました。

すると翌朝、腸の調子が明らかに違ったのです。ずっと悩んでいた状態が、一夜にして変わっていました。食べ物って、こんなに体に影響するものなのか。本当に驚きました。

その頃、苦しんでいたのは私だけではありませんでした。飼っていた犬も皮膚病に悩んでいました。ステロイドを打たれても、皮膚は真っ赤でボロボロのまま。私自身が食を変えて体調が良くなったこともあり、犬の食事も自然栽培のものに変えてみました。すると、あんなに赤かった皮膚がみるみるきれいになっていきました。

食は、人間だけでなく、命そのものに影響する。そう確信した出来事でした。

「I」から「We」へ

自然栽培の世界に出会ってから、考え方が大きく変わりました。私たちの腸の中には100兆以上の腸内細菌がいると言われています。体の中にいる微生物たちと共に生きている——そのことに気づいたとき、ふと思いました。

人間は「I(私)」ではなく、「We(私たち)」なのではないか。だから、自分だけが満足する食べ物ではなく、体の中の仲間たち、そして自然界の仲間たちが喜ぶものを食べたい。そう思うようになりました。

木村さんからの言葉

木村秋則さんからこう言われていました。

「インターネットを使って、私から学んだ生産者と、消費者のあいだに橋をかけてほしい。」

それで人の役に立てるなら、それはきっと自分の天職なのだろう。そう思いました。そして2012年、自然栽培の食を届ける専門店としてハミングバードをオープンしました。

理念・ミッション

自然栽培、食、生命、地球のこと

自然栽培とは何か、と聞かれると、正直に言えば、言葉では説明しきれません。自然の摂理、命の法則。それを人間の言葉に収めようとすると、必ず何かがこぼれ落ちます。

ただ、ひとつだけ言えることがあります。私たちは今、自然から少し離れすぎているのかもしれない。農薬、化学肥料、食品添加物。ひとつひとつは「安全だ」と言われてきた。でも積み重なった結果が、今の地球の姿であり、今の子どもたちの体の姿でもある。

効率だけを追い、目先の利益だけを求め、自分さえよければいいという価値観が行き詰まったとき、人は自然に戻ろうとします。

食べ物は、栄養素の集合ではありません。命をつなぐ、生命そのものです。私たちはそう信じています。

「Eat True.」という言葉

ハミングバードのスローガンは「Eat True.」です。本物を食べる、ということ。でも、それだけではありません。

真実を食べる。自然を食べる。命を食べる。そして——正直に生きる、ということ。
食べることは、生き方そのものだと、私たちは思っています。

「あなたを、輝かせたい。」

ハミングバードは、答えを持っていません。でも、ヒントなら持っています。希望なら、お届けできます。

13年間、日本中の農家さんを訪ね歩き、土と向き合い、命と向き合ってきた人たちの言葉。食べることで体が変わっていった、たくさんの人たちの経験。自然の摂理が、静かに教えてくれること。

それらをあなたと一緒に読み解きながら、食を通じて、あなたの毎日をよりよくしていきたい。私たちはそのための、パートナーでありたいと思っています。

あなたを、輝かせたい。

Eat True.

ハミングバード

人と自然を食でつなぎ、伝える。

読んで、感じて。
次は、食べてみてください。
言葉でわかることには、限界があります。
体で感じることから、始まります。