ハミング通信

肥料・農薬の問題と悪循環

肥料の話投入量の実態と、日本農業の悪循環

「肥料」について、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか。化学肥料より有機肥料のほうが安心、農薬ほど気にしなくていい──そう思っている方が多いかもしれません。今回は、その「肥料」の実態についてお話しします。

まず、量の話から。たとえばお茶を有機肥料で栽培する場合、一反(約1,000平方メートル)あたり約54キロの窒素が必要とされています。これは農水省の施肥基準に基づく数字です。ところが、有機肥料に含まれる窒素の割合はとても低い。魚粉や油粕など窒素が比較的多い有機肥料でも約1トン、鶏糞や堆肥など窒素が少ないものだと3トン近くになります。つまり有機肥料の種類によって違いはあるものの、一反あたり1〜3トンもの肥料を畑に投入しなければならない計算になります。

テニスコート半面ほどの広さの畑に、毎年1〜3トン。「それでも効き目が足りない」となれば5トン、10トンと増えていく。これを10年、20年繰り返せば、何十トンもの肥料が堆積し、地中に窒素分が過剰に蓄積されていきます。

その結果、有害な硝酸性窒素を含んだ野菜が育ち、地下水が汚染されて井戸水が飲めなくなる 。沖縄のある島では、おいしかった井戸水が窒素過多で飲めなくなり、高校生が市販のミネラルウォーターを持ち歩くようになりました。

さらに問題は連鎖します。たくさん肥料を入れる→生産量が上がる→供給が増える→物価が下がる→収益を確保するためにさらに肥料を使って生産量を増やす。この負のループから、一度はまると抜け出せなくなるのです。

植物は、地球の起源からずっと飢餓状態を生き抜いてきた生き物です。だから「もしもの時」に備えて、肥料の主成分である窒素を必要以上に体内に取り込もうとしてしまう。すると植物の体内で「硝酸態窒素」が増えて、窒素過多の状態になります。これが、まずい野菜特有の苦みやえぐみの原因です。自然栽培の野菜が「雑味がない」「スッキリしている」と言われるのは、こうした未消化の窒素分が残っていないからなのです。

人と自然を食でつなぎ、伝える。

読んで、感じて。
次は、食べてみてください。
言葉でわかることには、限界があります。
体で感じることから、始まります。