ハミング通信

地球環境・農業の未来

植物の根の知性酸を出し、微生物を呼び、岩を溶かす

植物の根というのは、面白いものです。岩など障害物があって根を先に伸ばすことができなくなると、自分で「酸」を出して岩を溶かし、道を切り開きます。大きな石の塊にぶつかって行き止まりになると、今度はホルモンを分泌して微生物を誘い出し、互いに協力し合い、何メートルも遠回りをしながら、まるでピンポイントで探し当てたかのような道筋を見つけ出すのです。

さらに、地中に養分がない時には、自分の体に微生物をたくさん付着させて、根の周りいっぱいに窒素を固定させる働きまでします。生きるための「装置」を自分で作り出すのです。

自然界、つまり肥料も農薬もない世界では、未来は自分で切り開かなければなりません。選択肢を広げ、仲間を募り、失敗と成功を繰り返しながら生存確率を上げていく。不確実性の中で答えを導き出したものだけが、未来に命をつないでいく。こうして見ると、植物も人間も同じような生き方をしているから不思議です。

一方で、最近の生命科学の分野ではDNA編集のイノベーションが加速しています。しかし植物の根の働き一つ見ても、地球のあらゆるものには複雑に要素が入り組んだ「関係性の世界」があることが分かります。ピンポイントな問題解決では、部分しか解決できません。テクノロジーへの期待が過度になり「生態系の問題もテクノロジーで解決できる」という楽観論が出てくるのは 、少し心配です。原点をしっかり見つめ直す時だと思います。

人と自然を食でつなぎ、伝える。

読んで、感じて。
次は、食べてみてください。
言葉でわかることには、限界があります。
体で感じることから、始まります。