ハミング通信

遺伝子組み換え・制度・世界の現実

ゲノム編集とモンサント遺伝子操作が食卓に来るまでの話

「ゲノム編集」という言葉をご存知でしょうか。遺伝子を狙い通りに切り貼りできる技術で、ソースコードの「コピー&ペースト」のように生物の設計図を自由に編集できます。

たとえば牛は、ある程度大きくなると成長ホルモンが止まるのが自然の摂理です。これをゲノム編集で止めてしまえば、際限なく大きくなる。今までの2倍の牛が誕生して、肉の売上も2倍に 。ツノが邪魔ならツノなしの牛だけを作ることもできる。牛だけでなく、米もトマトも魚も、あらゆる作物で実現可能です。

この技術の背景を理解するには、モンサントという企業の話が欠かせません。もともとベトナム戦争で使われた「枯葉剤」の製造メーカーだったこの会社は、戦後その技術を農業用除草剤に転用しました。ところが効き目のある除草剤は農作物まで枯らしてしまう。そこでバイオテクノロジーを使って「除草剤に耐性を持つ農作物」を開発した。これが遺伝子組み換え農産物の始まりです。

大地の緑があっという間に焼け野原になるほど強烈な除草剤を撒いても、遺伝子組み換えのトウモロコシや大豆だけは枯れずにピンピンしている。この「種と除草剤のセット商品」は瞬く間に世界中に広がりました。しかしその後、これを食べた人たちが世界中で体の異変を訴え始め、アメリカの裁判所はモンサントの除草剤「ラウンドアップ」がガン発生の「事実上の要因である 」とする評決を下しました。その後も訴訟は全米で12万件以上に膨れ上がり、ラウンドアップをはじめとするモンサント由来の訴訟が総額1兆円超の和解という、前代未聞の結末を迎えました。

ヨーロッパではゲノム編集を遺伝子組み換えと同じ規制の対象と判断しています。一方日本では、ゲノム編集食品について厳格な安全審査は行わず、国への届け出だけで販売を認めるという方針が出ています。知り合いのアメリカ人に「遺伝子組み換えについてどう思う?」と聞いたら 、「それってアジアンの食べ物でしょう」と一言で返ってきました。同じ地球に住んでいるのに 、アジアもアメリカもないだろう!そう思ったものです。

人と自然を食でつなぎ、伝える。

読んで、感じて。
次は、食べてみてください。
言葉でわかることには、限界があります。
体で感じることから、始まります。