ハミング通信

地球環境・農業の未来

田んぼの最後のメッセージ42年無肥料の田んぼが語ったこと

数年前のこと、熊本の米農家・稲本さんが、一番古い田んぼ──42年間ずっと無肥料自然栽培で育ててきた田んぼ──を手放すことになりました。「最後のメッセージを見て欲しい」と言われて、秋口に、写真を撮りに行きました。

前年の10月に最後の収穫を終え、自然栽培の田んぼをそのまま放置していたら、一年も経たないうちに草木が2メートル50センチほどの高さまで生えてきたというのです。身長180センチの僕が立っても、草木に埋もれてしまうくらいの高さです。

42年間、一度も肥料を与えていない。だから畑が枯れてしまう──そう思うかもしれませんが 、まったくそんなことはない。それがこの田んぼの証明でした。

一方、すぐ隣にある田んぼ。最後まで肥料も除草剤も使っていた慣行栽培の田んぼは、草木が僕の膝丈しかありません。草木の種類も少なく、多様性がない。同じ時間だけ経過しているのに 、土の中に除草剤が残っているせいなのか、草木がのびのびと成長できていないのです。

今の日本では、ほとんどの人が、膝丈までしか成長することができなかった一般栽培で育てた田んぼのお米を食べています。一方で、一年も経っていないのに、2メートル50センチもの草木が生い茂った自然栽培の田んぼのお米を食べている人がいる。

カラダも地球も、壊れてしまってからでは遅い。自然界からの大切なメッセージは、こんな身近なところにもありました。

人と自然を食でつなぎ、伝える。

読んで、感じて。
次は、食べてみてください。
言葉でわかることには、限界があります。
体で感じることから、始まります。