自然栽培の本質・哲学・定義
有機栽培と自然栽培は何が違うのかラベルの呪縛と肥料の本質
「自然栽培と有機栽培(オーガニック)って、どこが違うの?」
自然栽培を食べ続けていても、いざ聞かれると答えに詰まる方が多いのではないでしょうか。今回は、この質問の本質的な答えをお伝えしたいと思います。
まず「農薬」の話から入りがちですが、ここはあえて飛ばします。農薬の有無は、問題の現象面に過ぎないからです。もっと本質的な違いは、肥料にあります。
ハミングバードが定義している自然栽培は「無肥料自然栽培」ともいうくらいで、有機肥料も化学肥料も一切投入しません。これは、生きている土が作物を育てるのであって、わざわざ肥料で土のバランスを崩して機能不全にさせることはない、という考え方です。
一方、有機栽培(オーガニック)では、ほとんどの場合、肥料を使います。そして、この「肥料を使う」という部分に、見落とされがちな問題が潜んでいます。
現代の酪農では、牛に与える飼料の約90%が海外からの輸入品で、その大半が遺伝子組み換え作物です。抗生物質や成長ホルモンを投与された家畜の糞尿が、有機肥料として畑に入れられる 。「化学肥料よりも有機肥料のほうが安心」と思われがちですが、実態はそう単純ではないのです。
こうした背景から、欧米のオーガニック基準と日本のそれでは、肥料の定義に大きな差があります。欧州では遺伝子組み換え飼料を食べた家畜の堆肥は有機肥料として認められませんが、日本では認められています。
ここでもう一つの落とし穴についてお話しします。「ラベル」の問題です。オーガニックはもともと、一つの思想であり、生き方でした。それが経済社会の中で「基準(ルール)」としての意味合いを強め、「基準さえクリアすればオーガニック」ということになってしまった。規格が一人歩きを始め、本来の理念から離れていったのかもしれません。
自然栽培には、こうした公的な認証制度がありません。肥料も農薬も使わずに、土の力・微生物の力・植物が本来持っている力を最大限に引き出す、という命題が先にあります。たいていの場合、志やしっかりした想いをもった農家さんの野菜はおいしい。心は、味に出るのです。
