土・腸・生命科学
生命は常に最新動的平衡と、野菜がなりたい本当の姿
新しいMacBookのスペックは発売後ずっと変わらないのに、僕たちの体重が毎日違うのは、僕たちが生きている証拠です。毎日、新しい細胞が生まれ、古い細胞が死んでいく。こうした絶え間ない流れが生命科学でいうところの「動的平衡」です。
工業製品は出来上がった瞬間から、どんどん古くなりますが、生命は常に最新であり続けます 。AIは部分的にアップデートすることしかできませんが、生命体は自己そのものがアップデートされて最新の状態を保ちます。生命体は細胞の破壊と創造を繰り返して自己を一定に保とうとしますが、AIは自分を破壊することができません。これが、どんなにテクノロジーが進化しても、 AIが越えられない「生命」という偉大な壁なのです。

こんなことがあります。近年は異常気象で作物を取り巻く環境は過酷で、シーズンの途中で農家さんの作物を味見させてもらうと、お世辞にも美味しいとは言えなくて「売り物としては辛いなぁ」と思うことがあります。ところが収穫時期が近づくと、それなりにおいしくなって「今年の味(無二の個性)」として立派な仕上がりになる。その年ならではの記憶に残る作品になってくれるのです。
だから農家さんが「●●の肥料を使って美味しい野菜に仕上げました」なんていうコメントを聞くと、残念な気がします。野菜は、自分がなりたい本当の野菜になりたいのです。どんな過酷な環境でも、自分をアップデートできる、それが生命です。
自然という偉大な芸術家が作ってくれた作品を、肥料の味でごまかす必要などないのです。
