農家の魂

魚沼で、誰もやらなかった米づくり

新潟県魚沼地区米農家石田 篤

ブランド米の聖地、魚沼。その魚沼で自然栽培のコシヒカリを初めて作ったのが石田さんです。
農薬も肥料も使わない、前例のない米づくりでした。

きっかけは、子供のアトピー

なぜ始めたのですか?

子供が4〜5歳のときにアトピーになってね。病院をいくつも回って、最後は新宿の皮膚科まで行ったんだけど、ドクターから「まずは食べ物からですよ」と言われはっとした。
それで、父がやっていた田んぼを借りて、間違いないものを自分で作ってみようと思ったんですよ。実際にやってみて、田んぼの水に手を入れると、手がツルツルになるんだよ。一般栽培の農家は手が荒れて酷いんだけど、これには驚いたね。これを知っちゃうと、もう農薬とか考えもしなくなるよね。

うまくいかなかった5年間

最初の5年は失敗ばかり。それでもやめなかった。
少し意地になっていた時期かもしれません。

生き物相手だからね、成長に伴って日々変わる目の前の景色。花が咲いたりもする。大変なこともあるんだけど、結局ね、自分が田んぼに救われてるんだと思う。

炎天下の草取り

30℃を超える炎天下で、真夏の1ヶ月間、朝から晩まで草を刈る。

それって気が遠くなるような仕事ですよね。
正直、楽をしたいと思いませんか?

楽をしたいとは思わないね。

「草を刈ることに価値がある、、、」

少し間をおいて、石田さんはポツリこう言いました。

どっちがいいとか悪いとか、そういう話じゃないんだよ。
自分はね、草を刈ること自体に価値があると思ってる。

楽をして除草剤を使うっていう選択肢は、自分の中にはないし、何かと比べて羨ましく思うこともないんだよ。草を刈ることにちゃんと価値がある。

モノサシが違う

効率がいいか、楽かどうかではなく、「その行為に意味があるかどうか」。
石田さんの農業は、その一点で貫かれていました。

編集後記

「儲かるから」とか 「楽だから続ける」のではなく、意味があるから続けられる」。
自然栽培とは、単なる農法ではなく、どこに価値を置くかという選択なのかもしれません。

人と自然を食でつなぎ、伝える。

読んで、感じて。
次は、食べてみてください。
言葉でわかることには、限界があります。
体で感じることから、始まります。