ハミング通信

時代観・コラム

「10円の命」鶏たちの現実と、ケージフリーの世界

スーパーでは卵を目玉企画として1パック108円で集客する手法が、テレビのニュースで話題になっていました。最近は卵の値段も上がってきていますが、それだと卵が売れないようで、こうした特売でお客さんを呼び込んでいるのが現状です。1個あたり10円ちょっと。それがどういう卵なのか、までは書いてありません。

今の日本の卵の92%以上が「ケージ飼い」の卵です。A4サイズほどのわずかなスペースに成鶏が2羽、振り向くことすらできない状態で、一生卵を産み続けます。ヒナには早く卵を産ませるために成長ホルモン剤が投与され、90%以上の鶏たちが遺伝子組み換え飼料を食べさせられています。産卵率を上げるために夜も煌々と灯りを付けて眠れない環境で産み続ける鶏たちもいます。

一方、EUでは既にケージ飼育は禁止されています。世界77か国が禁止、世界トップ20の小売企業のうち17企業がケージフリーに移行しています。

ヨーロッパには、たとえ動物であっても生き物の尊厳を大事にする風土があります。それが遺伝子組み換え作物の禁止にもつながっている。この考え方のベースは、自然栽培の哲学と根っこが同じです。一枚10円のコンビニのコピー機と鶏は、同じではないのです。

鶏たちは生き物です。健康な卵は、時間も必要ですし、健全な環境からしか生まれません。僕たちも身近なところから、平飼い卵や放し飼い卵を応援していきたいと思っています。

人と自然を食でつなぎ、伝える。

読んで、感じて。
次は、食べてみてください。
言葉でわかることには、限界があります。
体で感じることから、始まります。